自分に暗示をかける『自律訓練法』 そのやり方と効果
「自律訓練法」っていう言葉、時どき耳にしませんか?
自律って、自分で自分をコントロールすることですよね。
自律訓練法とは、自分自身を催眠状態(自己暗示)にすることで、心身の緊張をほぐしてリラックスさせたり、自分だけに気持ちを向けることで、集中力をアップできる訓練法なんです。
自分だけで何も使わずにできる「あがり症対策」ですので、一度試してみてはいかがでしょうか。
ここでは、「自律訓練法」のやり方や効果についてご紹介します。
自己暗示で催眠状態へ
自律訓練法は、ドイツの神経科医シュルツ医師が、100年近く前に考案したものです。
当時のドイツでは、科学的に催眠の研究が行われていて、実際に催眠にかけられた人たちの多くが、手足に温かさを感じるという報告があったんです。
そこに目を付けたのが、この「自律訓練方法」です。
あがり症の人が、緊張しそうになったり、強いストレスを感じそうになったときには、自分で意図的に精神をリラックスさせて、緊張やストレスを回避するというのが、この訓練法の狙いなんです。
自律訓練法の効果
- 緊張をやわらげて不安を取り除き、リラックスさせることができる
- 目の前のことに集中できるようになるため、周囲からの視線や音が気にならなくなる
- 自己統制力が高まることで、衝動的な行動が少なくなる など
自律訓練法の効果には個人差がありますが、これをマスターすれば、緊張しそうになったら自己催眠でリラックスすることができるという安心感から、自分の行動にある程度の自信が持てるようになります。
自律訓練法のやり方
準備編
まずは、精神をリラックスさせます。
部屋はできるだけ暗く静かな状態にしてください。
体は、あお向けに寝ている状態でも、イスに座った状態でもOKです。
イスの場合は、リラックスできるように、背もたれのあるイスやソファなどクッション性が高いものがオススメです。
実践編
@ 普通にあお向けに寝て手は体の近くに伸ばして、または、イスにゆったりと座って手は軽くももの上におきましょう。
目を閉じて、全身の力を抜いてリラックスします。
そして、心の中で「右手がとても重い」とつぶやきながら、実際に右手の重さを感じ取るという練習を行います。
その後、左手も同じように行いましょう。
A 腕の重さを感じられるようになったら、次は手足の温かさを感じられるように練習していきます。
手足の場合には、左右の手と足、合計で4つの部位を別々に温かさを感じましょう。
うまくできるようになったら、手だけが温かいとか、足だけが温かい、と工夫して部位を変えるのもアリです。
B 次は「心臓の鼓動が静かだ」と自分に言い聞かせます。
そして、それを実際に心の中で感じ取ってください。
C その次は「リラックスして呼吸をしている」「お腹の部分が温かい」「おでこが涼しくて気持ちいい」など
部位を少しずつ変えながら、自分が心の中でつぶやいたことを実際に感じ取れるように練習していきます。
D 最後に、ゆっくりと目を開け、伸びをして体を軽くストレッチします。
以上の方法で、心身をリラックスさせることができます。
あがり症の人は、緊張しそうな場面の前にこの自律訓練法を取り入れることで、周囲に惑わされることなく、自分だけに集中しやすくなります。
プレゼンやスピーチの前など、ぜひ試してみてください。
毎日の練習で少しずつマスターできる
自律訓練法は初めのうちは、なかなか部位の変化を感じ取ることができないかもしれませんが、「感じ取ろうとすること」自体にもリラックス効果がありますので、コツをつかむまで少し時間がかかるかもしれませんが、毎日コツコツ練習することが大切です。
1日の練習時間は、あまり長すぎると負担になって、毎日続けられなくなるかもしれませんので、だいたい10分から15分ぐらいが目安です。
もちろん1日おきとかもアリです。
また自律訓練法は、疲れてるときに行えば、とてもスッキリした気分になれますし、就寝前のリラックス法として取り入れれば、トレーニングを簡単に習慣化できるかもしれません。
自律訓練法をコツコツと練習していくと、自分を催眠(暗示)にかける感覚をつかめるようになります。
こうなれば、いつでも簡単に緊張を和らげて、リラックスできるようになります。
ただ、どんな方法でもそうですが、効果には個人差がありますので、この自律訓練法が自分に合うかどうか、しばらく練習を続けてみることをオススメします。
あがり症の人の緊張や不安を和らげる「自律訓練法」
やり方は簡単なので、一度試してみてはいかがでしょう。